ひび割れ抑制
コンクリートの強度って圧縮強度は強いけど引張強度に弱いと説明しましたが、無筋コンクリートは弱い部分を補うものが無いので、使用する場所が限られてくる。
基礎コンクリートに使用されることが多く、地盤や岩盤に密着させコンクリートで平坦にして、そこに構造物を設置することが多い。
基礎コンクリートと言うだけあって、上に載せる構造物を安定させ、沈下することを防ぐ役割もある。
長年、土木工事に携わってきて、いろんなコンクリート構造物を造ってきたし、いろいろ見てきた中で、コンクリートって一度ひび割れしてしまうとそこから急激に強度が落ち、品質が低下する。
そのため、極力ひび割れを起こさないように一定の間隔で伸縮目地を設けたり、力が集中し経年変形を起こすポイントにひび割れ誘発目地を設け、弾力性のある合成樹脂(シーリング)を充填する。
クラックが入ってしまった場合、クラックの幅や長さ、深さなどによって修復方法も様々で、使う資材も変わってくる。
品質の良いコンクリートを造ったとしても、その構造物の置かれる環境や場所によって、品質を維持できる期間が変わってくるので、生き物を扱うように丁寧に大切にコンクリート構造物を造っても限界はあると悟った。
目地の無い無筋コンクリートを打設した場合、どうやってひび割れ抑制をしたらいいのか?
私の経験上、無筋コンクリートでひび割れを抑制するような設計を見たことが無く、通常は構造計算などにより選定された生コンを打設し、きちんと養生を行って、ある程度の圧縮強度が確認出来たらOKで、あとはコンクリートの性質で長い時間をかけてゆっくり強度が増していく。
基礎コンクリートは埋まってしまい見えなくなるものなので、こういう構造物こそしっかり造らなきゃいけないと思うし、手を抜いて品質の良くない物を作ると、そこから崩れるのが早いと思うから、管理を徹底しなければいけないと思う。
コンクリートの品質管理を徹底するのは当たり前として、無筋コンクリートのひび割れ抑制をするのに、私が良く使う資材を紹介したいと思います。
「クラックバスター」
これは生コンに練り混ぜるポリプロピレン繊維で、撹拌時に繊維が骨材にからまり、千切れ、拡がり、均等に分散し、コンクリートのひび割れ発生を減らし、固まる前と固まった後のコンクリートの性能を向上させる特性を持っています。
従来の補強用繊維の問題点だった「ファイバーボール」の形成がありませし、袋ごと投入できるので計量の手間も無く、取扱が簡単です。
繊維は水分を吸わず、錆びることが無いので、コンクリートの品質に影響を及ぼすことが無く、繊維は柔らかいので誤って踏んでも人体に刺さることはありません。
1袋/1m3でアジテータトラックに袋ごと直接投入することができます。
投入後、3分ほど高速回転させ攪拌してから打設します。
打設直後のコンクリート表面です。
所々に繊維が入っているのがわかると思います。
実際に使ってみて感じたのは、繊維が絡まる感じがして均しづらいことと、コンクリート表面が見える構造物の場合、繊維が毛羽立ってしまうため表面の見た目が悪くなる。
あとは圧縮強度が強くなるわけではないし、埋まって見えなくなるので実際の効果がどうなのか確認できないことかな・・・。
でも引張強度が弱い部分を少し補っているのだから、性能が向上してるのは間違いないよね。
ちなみに、これを造っている会社は札幌にありますが、私はその会社の回し者ではございません。
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